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研究内容


研究概要: 本研究では、ナノスケールサイズで発現する電子や光の重畳現象による反応場を活用した単一分子レベルの超高感度でセンシング可能な新規デバイスの創生を目指します. この目標達成に向けて、自己組織化や結晶成長を利用したナノ材料工学のアプローチから、ナノ構造を思いのまま操る技術の開拓やナノ構造の形成に至る物理現象の理解を進めています.




酸化グラフェンからの高結晶性グラフェン薄膜の形成技術の開拓

安価に大量合成可能な酸化グラフェンは薄膜化することで大面積の電子デバイス展開は可能となり、世界中で注目されています. 本研究では、酸化グラフェン薄膜の還元プロセスに微量のエタノールガスを添加させることで、薄膜内の構造欠陥を効率的に修復(結晶性が向上)し、バンド伝導を示す高移動度材料(世界最高数値:μ=~300cm2/Vs)の生成に成功しました.

関連論文:R. Negishi et. al., Scientific Reports (2016). R. Negishi and Y. Kobayashi APL (2014).

多層グラフェン/グラフェンナノリボン(GNR)の合成法の開拓

グラフェンの電子物性は、その層数や形状に強く依存します. とりわけ、層間相互作用の弱い乱層構造を有する多層グラフェンは、多層でありながら擬似的に単層の電子構造を示すため、優れたキャリア輸送特性を示すことが期待されます。一方、グラフェンを細線化したGNRは、量子サイズ効果とエッジ状態の重畳によりハンドギャップが形成することが理論的に指摘され注目されています. 本研究では、乱層構造を有する多層グラフェンや多層GNRの合成に世界で始めて成功しました.

関連論文:R. Negishi et al., JJAP (2012), JJAP (2011), Thin Solid Films (2011) [被引用数:17], H. Tanaka et al., Scientific Reports (2015).

分子リソグラフィー法を利用した極微細加工技術の開発と量子デバイス応用

分子の自己組織化単分子膜をレジストとして利用したボトムアップ的なアプローチにより、従来のトップダウン型微細加工精度を遥かに凌駕する僅か~2nmの加工精度でナノスケールギャップ素子の作製に成功しました.さらに、エッチングプロセスなど多彩なトップダウン加工技術を導入することにより、殆どの種類の貴金属に対して加工可能かつ非対称な電極材料からなるギャップ素子形成が可能になりました.Alナノギャップに金微粒子を配置させることで超伝導単電子トランジスタを形成し、超伝導状態の崩れによる電子トンネリングの変調を明らかにしました.

関連論文:R. Negishi et al., APL (2006) [被引用数:35], APL (2007) [被引用数:20], Surface Science (2007) [被引用数:13], J. Vacuum Society Japan, (2008) Invited.

GNRをチャネルとした電界効果型トランジスタの開発

乱層構造を有する多層GNRの電子構造はギャップの形成に加えて擬似的に単層の電子構造を維持するため、これをチャネルとした電子デバイスの性能はCNTを凌ぐことが理論的に指摘されています [Y. Ouyang et al., Nano Research (2010)]。本研究では、単一のGNR・乱層構造を有した多層GNRをチャネルとした電解効果型トランジスタ(FET)を作製し、多層グラフェンFETのキャリア輸送特性評価から、多層化によりトランジスタのOn電流が向上することを明らかにしました.

関連発表:

還元した酸化グラフェン薄膜トランジスタをトランスデューサーとしたバイオセンサーの開発

優れた電気特性を有するナノカーボン材料は化学的に安定であるため、分子認識部位を表面修飾させることでバイオセンサー応用が可能となります.本研究では、還元処理をした高結晶性グラフェン薄膜をチャネルとした電界効果型トランジスタを利用して、免疫グロブリンの選択的検出が可能な高感度バイオセンサーやpHセンサーの開発に成功しました.

特許出願:根岸 良太 他、特願2014-172628, 特願2013-105560


最終更新日 2016年4月12日